それはある日のこと。
移転した畑も順調に稼働し、以前作った簡易畑を撤去(ぴょんぴょんジャンプしながら耕地を土に戻す作業)
…をしていたとき。
なぜか聞こえるはずのない声が聞こえる。
「ヴァー…ヴァー…」
私は背後を見る。
なんとそこにはゾンビが!!!
…おや?ゾンビはゾンビだが、この顔は…
この顔には見覚えがある!!!
「おーい、お前、もしかして私が昨年まで開拓していた怪奇村や新町から来たのか?」
そう、私は以前、しがない大工として各地を渡り歩き、
大規模畜舎(?)や銭湯、長屋風商店、ペットショップ、教会、美術館などを建築、
地域のあたたかな人々に囲まれながら、自由気ままな生活を送っていたのだ。
その頃にお世話になったあの地域の民族は、みなあのような力強い眉と大きな鼻が特徴的な顔をしていた。
私はその後、その民族たちを困らせていたエンダードラゴンというモンスターを倒し、
優しい彼らに見送られながら、こうして新天地へと一人やってきたのだ。
この地方には人間は住んでいなかった。
行けども行けどもあるのはわずかな島々と、モンスターの巣窟。
それでも、こうして正気を保っていられたのは、別れ際に、彼がかけてくれたこんな言葉のおかげだ。
「とるこさんが落ち着いたら、みんなも連れてそっちに遊びに行くよ」
彼は、私が作った教会の司祭をかってでてくれた男だった。
住み慣れた自分の町を出て、郊外にぽつんと建てた教会を一人で切り盛りする彼。
その彼が、そんなことを言って、笑って私を送り出してくれたのだった。
いつか来る彼やその仲間たちとの再会を夢見て、海底のこんな場所だって、3か月もかけて整備してきたんだ。
それが、まさか連絡もなく彼の方から来てくれるとは!
「おーい!久しぶりだなぁ!元気だったかい?」
そう言いながら近づいた私に、彼は…
バシッ!
…な…どうして…
私は声も出なかった。
あの優しかった彼が。突然私に殴りかかってきたのだ。
私は必死に逃げた。
でも頭の中は困惑でいっぱいだ。
せっかく再会できたのに!
どうして…どうしてこんなことをするんだ!
もしかしたら、もう彼は以前の彼ではないのかもしれない。
服は破れ、目も血走り、私に伸ばされる手はぼろぼろの皮膚をどうにか骨に纏わせたような有様だ。
でも…彼の発する声は、なぜだかとても切なかった。
「ヴァー…ヴァー…」
(助けて…まだ俺は死んでない…!)
私には、彼が助けを求めているように感じたのだ。
もしかしたら…彼の魂はまだ失われてはいないのか?
私はその時、遠い昔、祖父から聞いたとある昔話を思い出していた。
<第一話 終>
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source : vitaでのんびりマイクラ(+α)日記